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酒と泪と部長と女
2009/05/24(Sun)
.....部長、とっても若い彼女ですよね。

「23歳だよ。・・・」

.....にじゅ〜さん!!...ですか!?

ダムセンパークを後にして、部長と二人、
サイゴン市内の日本料理店で夕食をご馳走になっているのだ。

もちろん、部長の前には日本酒、刺身、天ぷら・・・
お客さんも、この市内で働く常連の日本人ばかりだろう。

「日本にいる実の娘と同年齢かな。」

................はぁ。

「でもな、そこに愛なんていうものはないかもな。」

.....と、言いますと?

「お互いがボランティアを楽しんでいるんだよ。」

.....ボランティア?

「彼女に服やお金を与える代わりに・・・
私はこうして、ベトナムの休日を楽しませてもらっている。」


................。

「これって悪いことかな?」

......僕には分からないけど。

「世間一般からみれば、、日本に奥さんや娘までもいるのに、ここのベトナムの若い女性と・・・
不謹慎と思っているんだろうね。・・そう思われてもしょうがない・・・・・・」


.....別に、そんな風には.......

「私は彼女に、実の娘を重ねている。」

.....むすめ?

「日本で、二十歳過ぎた実の娘と父親が、こうして遊べるか?」

................。

「私の前では、笑顔さえ見せなくなった娘に・・・・・」

................。

そこには部長の家庭生活を一瞬垣間見たようであった。

「ダムセンでの彼女のあの笑顔・・・・見ただろう。」

.....うん。

「たとえ、その笑顔をお金で買っているとしても・・私はそれで満足だよ。」

................。

僕は、部長に何も言えなかった。

「それより、後藤君の方が心配だな?」

.....え?

「だって、私はお金でつながっているようなものだから、
円だけに、縁が切れるのもたやすいことだ。」


................。

「後藤君とトゥイちゃんとの間には、それがないよう見える。」

................。

「後藤君がいくら、彼女をお友達だと思っても・・
彼女はそう思ってないんじゃないかな・・・・」


................。

「いつかは日本に戻るんだよ。
あまり深入りすると、トゥイちゃんがかわいそうだよ。」


................。

そんなこと考えもしなかった。

「後藤君には、ちゃんと日本に待っている彼女がいるんだろう。」

.....そうだけど.....

「後藤君の彼女のことはよく知っているつもりだよ。
日本の本社の総務でよくやってくれているし・・・・・
そして、トゥイちゃんのこともよく知っている。
お互いとてもいい子だよね。
天秤にかけるようなことだけはしないでくれよね。」


ぼくは、この時初めて日本酒の味を覚えた・・・・・

そして・・・・・・

来週には、半年ぶりに日本へ一時帰国(10日間)するのである。
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ダムセンに羽ばたこうとする蝶
2009/05/17(Sun)
ダムセンパーク・・ホーチミンから一番近いアミューズメントパークだ。

個人的にもうちょっとダムセンパークでの出来事を話そうと思う。
この日、初めて行ったのにとても、とても思い出深い場所となってしまったからだ。

blogsty090517.jpg


「ネェ、ハヤク・・・ハヤク・・・」

トゥイがパーク内の池の周りを、早足で駆け出した。

どうやら、元気を取り戻したらしい。

氷の祭典を見た後、
少し歩いたところでしゃがみ込んでしまったときにはどうなるかと思ったけど・・

パーク内にある動物園の猿や鳥、水族館の魚たち・・

そして、たくさんの植物の中で舞い踊る蝶たちが、
彼女に元気を与えてくれたのだろう。

.....ディー・ダウ?(どこへ・・?)

「ミテ、ミテ・・・キレイ・・・」

彼女が指さすパーク内にある岩山には、
これから羽ばたこうとするかのような真っ白い蝶・・・・・

そう、ウエディングドレスをまとった花嫁と花婿が留まっていた。

「・・・キレイ・・・・」

そこには、まさに夢見る乙女のような表情をしている
ふつうの女の子(トゥイ)がいた。

その瞳の中に映るっているのは、
真っ白いウエディングドレスの花嫁・・そして・凛々しい姿の花婿・・・・・

blogsty09051722.jpg

結婚記念撮影。

カメラマンが二人のこれからを導くようなすてきな表情を撮っている。

それは周囲の目線を気にするようなものではない。

僕からみると、とても照れるようなポーズや表情を自然と、
このパーク内で撮っているのである。

もし、日本のディズニーランドを舞台に一般客と混じって
結婚の記念撮影が許されるのなら・・・・・・

ある意味、ミッキーやドナルドよりも注目されるだろう。

「ネェ、ワタシタチ・・オナジバショデ・・トリマショ・・」

.....えっ?

「シャシン・・・トル」

まさか、あの岩山に立って新婚さんと同じような写真を撮るってこと・・・

いつのまに、僕の横にはカメラをぶら下げたおじさんが立っていた。

パーク内で写真を撮って商売にしているカメラマン?だ。

「イイデショ?」

結局、一緒に写真を撮るはめになったのだ。
やっぱ、なんたって・・・ここでの選択権はトゥイにある。

「OK?・・・・・No,No・・Yes,OK!」

岩山から見下ろすとカメラマンが大きな声で僕たちに指示をしていた。

あ〜・・恥ずかしい。

気のせいか彼女が僕に少し寄り添ってきた。

きっと、大きな声で・・もっと寄り添って・・と、でも言っているのだ。

「アノ・・カメラマン・・オモシロイ・・」

.........................................σ(--#)

そのときカメラマンの声とともに・・・

「後藤くん!」

岩山の下から、見覚えある二人が目に入ったのである。

.....あっ!

ガシャ☆

シャッターを切る音・・いままでにない最高の一枚(表情)になった。

blogsty09051733.jpg

そして・・・・・・

そこには、前にボーリング場で楽しんでいた部長と・・あの時の彼女?がいたのであった。

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暖かくて冷たい君の手
2009/05/10(Sun)
来てしまった。

寮からトゥイちゃんのバイクに乗って30分ぐらいだろうか・・・・

damsenprak56.jpg

ここがダムセン公園だ。
ベトナムのディズニーランドとも言えばいいのかもしれない。
いや、ディズニーランドは言い過ぎである。
遊園地と動物園の複合施設かな?

「ハイ、チケット。」

トゥイにお金を渡して、チケットを買ってきてもらったのである。

.....カム・オン、ニャ。(ありがとう)

しかし、トゥイの日本語の返答を僕がベトナム語で返しているのである。

おかしなことだ。

「ハヤク・・ハイロ。」

.....うん。

完全に主導権はトゥイにある。

ダムセンパークのゲートでチケットを切ってもらい中に入ると

「ヨカッタ・・・」

.....タイ、サオ(なにが?)

「コレ・チケット・・ベトナム・・リョウキン」

どうやら、僕の入場券はベトナム人用らしい。
外国人用はチケットが別で高いのだ。
(*現在はそうではない。)

僕がゲートを無事に追加できたってことは、いちようベトナムの人だと思われたってことだ。
会社の昼休みに毎日、外で寝ていて黒く焼いた甲斐があったってことだ。

「ネェ・・ドシテ・・ボウシ・・フカイ・カブル?」

.....あぁ。

「モウ・・ゲート・・トオッタ・・ダイジョウブ・・デスネ・」

.....そ、そうだね。

違うことで大丈夫でないのである。

こんなとこでタムさん達にでも出会ったら大変なのだ。

中に入ると湖を囲むようにきれいな緑が生い茂っていた。
家族連れやカップルも多く、そして賑やかだ。

「アレ・デスネ。」

トゥイが向かうところには、大きな仮説テントが目に飛び込んでくる。

「ハヤク・・」

どうやら氷の彫刻展らしい。

中に入る前に係員から厚めのコートをかけられる。

テントの中はまさに、氷の世界。

札幌の雪祭りのように、鮮やかな氷の彫刻が
このテント内に順路を通って、あちこちに並んでいた。

そこには、統一会堂(旧大統領官邸)やホーおじさん記念館までもが氷で再現されてあった。

blogaz0510.jpg

.....カーム、ライ?(寒い?)

「スコシデスネ。」

そのときトゥイが僕の手を握ってきた。
妹のように思ってたきたトゥイにドキッとした。

「イキ・・シロイ。」

口元から出る白い息とともに、
トゥイの手はとても冷えていた。

「ミスターゴトウ・・テ・・アタタカイ・・デスネ。」

どうやらトゥイは、このテント内の温度を想像してなかったのかもしれない。
僕にとっては、まだ日本の冬のほうが寒いと感じるのに。

.....チューン、ター・ディー、コーン・ヴィエン、ディー?(公園に行こうか?)

僕は、ここを出て公園に戻ることを話した。

「ダイジョウブ・・デス。」

いじらしいトゥイに胸が詰まった。
どう見たって、トゥイの体は小刻みに震えているのに・・・

無理しているのは、多分僕に、ここを見せたくて誘ったに違いないからだ。

僕は、トイレに行きたいと言いながらテントの外に出るように促した。

そして、テントを出てコートを脱ぎ、白いTシャツから見える
トゥイの腕には・・

鳥肌が立っていた。

やはりベトナムの人は、
日本の冬のような寒さには順応していないのだろう。

.....ギー?.....How about stopping at that bench for a rest?

ぼくは、湖のほとりにあるベンチで休もうと話した。

「アリガト・・デモ・・・タイジョウブ・・ダイジョウブデスネ。」

そう言うと、トゥイは僕の手を握ったまま公園内を歩き出した。

「トイレ・・ダイジョウブデスカ?」

僕は、トゥイの手を強く握りかえしながら・・・こう答えた。

.....ダイジョウブ、ダイジョウブデスネ。

そして、さらに帽子を深くかぶり園内を歩いた。
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二つのデートの誘い
2009/05/06(Wed)
「Will you be free next Sunday? 」(今度の日曜日は空いてますか?)

.....why?

「Would you like to go for Dam Sen?」(ダムセンに行きませんか?)

.....Dam Sen?

ダムセン・・・ダムセン・パーク。

ホーチミンから一番近いアミューズメントパークだ。

昼休みに総務の子達が誘いに来たのである。

.....Thank you. .....but another schedule.

断るしかなかった。

タムさんと仲良くなるほど、なぜか後ろめたさを感じるのである。

なんせ最近、北沢さんが飲みに誘ってくれない・・・・・・

僕が寮を出て、ホテル住まいってこともあるのだけれど、
ぶっちゃけ口に出しては言えないが、どう見たって北沢さんはタムさんのことが好きだ。

それに、日曜日はトゥイちゃんとのベトナム語レッスンがあるし・・・・・
(本当に、真剣に教えてくれるのでトゥイのを断るわけにはいかないのである)

...........Xin lo^i (ごめんね)

そして日曜日-

ホテルの朝食を済ませ
誰もいないプールバーでバーテンのお兄さんと二人、ビリヤードを楽しんでいると・・・

「Mr,Gotou, there is a phone call for you・・・」

.....電話?

ホテルのレセプションの子が僕に電話がきていると言っている。

.....Alo^! (もしもし)

「なにが、アローだよ、おれだよ!」

.....か、課長!

「ちょっと、寮に来られるか・・・・ガチャ☆」

な、何なんだよ、いきなり切っちゃって!

なんかやらかしたかぁ〜

・・・・・・・・

.....Please call a taxi.

僕は、すぐにタクシーを呼んで寮へと向かった。
なんせ、タクシーで10分とかからない距離なのである。

寮に着くと・・・・・・・
呼び鈴を鳴らすまもなくドアが開いた。

「お、後藤、待ってたんだぞ。」

.....なんすか?..いきなり電話切れちゃって...

そういうと課長が耳元でつぶやいた。

「わるいな、それよか工場長の相手してくれや、また朝からなんか料理を作ってるから・・・」

....はぁ。

「我輩は、外にバイクタクシーを待たせてあるから撤退する!」

....か、課長。

「あ、そ、そう、寮にいるのは工場長だけだよ、後のみんなは出かけちゃっているからね。」

................。

.....なんなんだよである。

キッチンでは、工場長がひとり奮闘していた。

.....工場長。

「おっ、後藤!・・・ちょうどいいとこに来たな。」

....なんか大仕事ですね。

「そうか?・・なら手伝え・・・この生地を・・・・・」

そばを作っているのである。

「あれ?、課長はどこ行った?」

.....さぁ〜

「ま、いいか・・そういえばさっき、後藤に電話があったぞ。」

.....日本からですか?

「トゥイちゃんだよ・・・ずいぶん日本語うまくなったな・・・電話で話していて感心したよ。」

.....僕と違って、頭いい子ですから。

「言わなくても、分かっとる」

.....そうですね、なのに僕はベトナム語ぜんぜん・・・・・

「それよか、公園へ行くのを誘いたいみたいだったぞ。」

.....公園?

「なんでもそこで、氷の祭典をやっているらしいよ・・・ダムセンパークって言ってたな。」

.....ダ、ダムセンパーク!

「知ってるのか?」

.....ちょっと。

「こっちに来るように答えてやったぞ。」

................!!

「ついでにトゥイちゃんに、わしの作る日本そばとベトナムのフォー、どっちうまいか食べてもらおうと思ってな。」

................。
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あいさつ
2009/03/08(Sun)
「後藤!工場長がお呼びだぞ・・・」

.....はい。

少し「相棒」の右京さん風に何かをかんぐりながらの返事をした。


そう、エンジニアと生産計画について打ち合わせをしてるとこに、
課長の声が割り込んできたのだ。

なんだろう・・・2シフトにするって話かな?
ここ最近、そんな噂聞くし・・生産管理計画表からすると、オーダー数量増えてるしなぁ〜


トン、トン・・・

.....後藤です。.....入ります。

「お、後藤・・・ちょっと、相談したいことがあるんだが・・・・・まぁ、座れ。」

.....はい。

「後藤はもうベトナムに来て半年ぐらい経つかなぁ〜」

.....そのぐらいにはなります。

「休みには寮に閉じこもっていることもないし・・・・」

.....は。

「一人で街(サイゴン)にもよく、出歩いているしな。」

と、いうと...............。

「来週の頭には、われわれの寮に仲間が増えること、知っているか?」

.....技術の本谷さんですか?

「うちの弱点部分を強化するために半年間こちらに来てもらうことにしたんだ。」

.....はい。

「そこで、どんな問題が生じると思う?」

.....う〜ん...当然、寮に開いてる部屋が、ありません。

「・・・・・そうだな。」

.....相談って、部屋を共有することですか?

「お互い、それはイヤだろう。」

................。

「そこで、後藤が寮近くのミニホテルに移ってもらいたいんだ。」

.....え。

「半年間だけだ、・・・本谷さんには後藤の部屋を使っててもらおうと思う。・・・どうだ?」

.....はい。

「なんせ、飛行機に乗るのも生まれて初めてで、
海外に足を踏み入れるなんて考えてもみなかった彼だ・・
いきなり、外国人ばかりのホテルは不安だと思わないか?」


.....思います。

「そのとおりだな。」

.....で、.....いつからですか?

「今からだ。」

............!!!

ohotel.jpg


そのホテルは、寮からタクシーで5分位だろうか・・・・・

ミニホテルだけにロービーはとっても、こじんまりしていた。

ロビーの向かい側には食堂とビリヤード台が3台置いてあるプールバーとなっている。

僕を向かい入れたボーイや、レセプションの女性が笑顔を絶やさない。
第一印象はグットである。

「I come out of here and return.」 (じゃ、ここで帰るね。)

.....サンキュ、ミス、タム!

タムさんが来てくれていろいろと手続きしてくれたのである。

ほんと、ベリィ、ベリィ、ありがとう!なのである。

「May this next stay at the room?」(次は、部屋に泊めてね。)

.....はぁ?

そう言うとすぐに、タムさんはホテルを後にした。

ガールフレンド?・・・・・とボーイが言った。

.................!!

ボーイが僕のスーツケースを持つと
四階エレベーターそばの部屋を案内した。



キーを差し込んで部屋のドアを開けた瞬間、僕は騒然とした。

.....な、何..今の?

開けたドアから差し込む明かりに反応して床一面の黒い物体がざっざっと、
引きはじめたのである。

真っ黒のじゅうたんが一瞬にして大理石の床に変わった。
驚く瞬間であった。

それは、となりのトトロの真っ黒クロスケのようにかわいいものではない。

ボーイが中に入り、カーテンを開けると
ベトナムのまぶしいほどの夕日が部屋一面に差し込んでくる。
そこに僕の足元を・・・・・・一匹の・・・・・・

・・・・・ご、ごきぶり!(O_o)!!! 
じゃ、さっきの黒い物体は・・・!?

床一面に群がるゴキブリに遭遇したことがありますか?

そんな光景を拝めることなんて一生の中にないでしょう・・・

とにもかくにも、とんでもないルームだった。

.....Please change the room!

チェンジ、ザ、ルーム!.....チェンジ.....ルーム!

僕は、必死にボーイに訴えた。

さすがにボーイもその部屋には引いたのだろう。

しばらくすると、支配人らしき人が現れて、
三階のスタンダードの部屋を案内してくれた。

さっきよりはVIPといった部屋だ。
二人部屋で
ベットも2つある・・・部屋もかなり広々している。
値段も交渉時の部屋のままでいいという。

これは、素直に喜んでいいのだろうか?・・・・・

とにかく、初めての不安な夜を、いや・・これから半年間・・このホテルでの生活が始まるのである。

僕は、電気を点けたまま、
・・・・・ベットへと潜り込んだ。


「Good Morning !!」

翌朝、部屋を出て食事のために1階のロビーに向かうと

朝も早くからレセプションの女の子が気持ちいい笑顔で僕に挨拶をした。

もちろん、レセプションの子がまとっている正装はアオザイである。
これから毎朝、最初にアオザイ女性に声をかけられるのは幸運である。

.....グット、モーニング!

ベトナムに来て一番感心したことが、この元気な笑顔の挨拶だ。

寮のお手伝いの子や会社のワーカーたち、そしてここのホテルの人たち・・・

朝から気持ちよく挨拶を交わしてくる。
つられるようにこちらも元気に挨拶を交わすようになる。




さらに、今日も一日がんばるぞ〜!と言う気分にもなる。


改めて、挨拶は、大事だなぁと思う。



日本はどうだろう・・・・・・


無愛想に挨拶を交わしてくる社員がいたり、ひどい時には、挨拶の言葉さえない・・・・・・

はるかに日本より貧しいベトナムの人たちのほうが、
とても、とても礼儀正しく、元気なのである。

「Good,Morning!」

ロービー前の食堂には、まだ誰一人としていなかった。
食堂のカウンターでコップ磨きしていた従業員の挨拶がやけに閑散とした食堂に響いていた。

.....May I have a menu, please?

その従業員が僕にメニューを差し出してきた。
朝食用のメニューはフォーが、トーストのどちらかである。

トーストを注文すると、
「Coffee or tea?」と笑顔を絶やすことなくたずねてきた。

.....coffee、Please!

ものすごく好印象の青年だ。
隣のカウンターバー前にあるビリヤード台を眺めていると、その青年が

「Billiards are pleasant games. 」

ビリヤードはとても面白いゲームだから、今度一緒にやりましょうと言ってきた。

.....The rule of billiards is not known.

ぼくは、ビリヤードのルールも知らないし、やった事すらないといった・・・・・・

「It teaches. 」

教えてくれるの?・・・ちょっとうれしかった。

課長や、北沢さんたちがベトナムで、
仕事以外のこと(英会話やダンス教室)を学んでいるのが、
うらやましかったので・・・彼の「教えてあげるよ」という言葉が妙にうれしかったのだ。

僕は、大きなスクランブルエッグを口に入れながら、
ここベトナムで「映画 ハスラー」のトム・クルーズになるまで教えてもらおう・・・と、にやけていた。

「Mr, Gotou・・・・・」

レセプションの子がホテルの前に会社の車が来て待っていることを告げに来た。

.....えっ、もう〜こんな時間・・・

ロビーの外からはバンに乗った課長たちが目に入った。

これからは、寮からこのホテルに寄り、僕を乗せて工場に向かうのである。

慌てて部屋に戻り会社へ行く準備をしてロビーに下りると、レセプションの子が
az17011611112.jpg

「イッテラッシャイ!」

と、日本語で僕を見送った。

.....To^i di nhe'!(行ってきまーす!)

僕はベトナム語で返した。
彼女は驚いたように笑っていた。

バンに乗り込むと、僕は大きな声で

.....おはようございまーす!

と、みんなに声をかけた。

みんなの声が、つられるようにおはようと跳ね返ってきた。

「朝から元気いいじゃないか・・・」

「後藤、何かいいことでもあったか?」
「さては、あのレセプションの子か・・・・きれいだもんなぁ・・・・・」

みんな、何とでも言ってくれである。
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